白バック覚え書き

ぷらなりあ(@himeyokobai)の日記。

美しい影の捏造法

1年以上ぶりの更新。

広告が出始めちゃったのでとりあえずなんか書きます

 

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さっそく本題。

いろんな人が言っている(?)ように、白バック写真でメインとなってくるのは影の美しさ、だと思っています。

 

美しいな、と思う影の条件を挙げると以下のようになります。

  1. 濃い部分から薄い部分への滑らかなグラデーションがある
  2. 1.の影のスタートの”濃い部分”は濃すぎず薄すぎない
  3. 影に彩度が無い、もしくは少ない

 

このような影はだいたいの虫ではディフューザーをしっかり使えば普通に出せるものですが、どうしても難しい分類群がありました。

 

そう、「」です。

 

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蛾は翅が透けるため、翅の色がもろ影についてしまうことが多いなと思っています。

特に鮮やかな色彩の蛾で顕著です。

そしてなぜが影の境界がしっかり出てしまうことが多い…、これは自分の技術的な落ち度だと思いますが。

 

今回はコシタベニヒトリの写真を用いて色のついた影の彩度を下げ、影の境界を滑らかにする捏造法を書いていきます。

 

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発想としてはシンプルなもので、

「影と被写体を分け、影の部分だけ明るくして彩度を下げる」

というだけです。

 

はじめは切り取りツールでなんとかならないかな~といろいろ試していましたが、やはり「切り取った感」がどうしても出てしまいます。

 

そこで思いついたのが影だけを残す方法。

 

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1、適当な写真をGIMPにインポート

f:id:UZUMUSHI:20211023025928j:plain

今回はこんな感じの写真から編集していきます。

適当、といってもある程度編集できそうな範囲だな、ぐらいの写真にしましょう。

 

2、おおまかに周りを消し、ある程度白く飛ばす

f:id:UZUMUSHI:20211023030213j:plain

いらない部分を塗りつぶして白くしちゃいます。

 

上と下でかなり明るさが違うので、下の明るさで白く飛ばすと上がオーバーに明るくなってしまうと思われます。

このため、一度上で白く飛ばしておきます。

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飛ばした後の暗くしてのチェック。

上のほうの翅の周囲は完全に白く飛ばせていることがわかる。

 

このあと、レイヤーを複製し、一番下の影のところで白く飛ばします。

この理由は手順”6”で。

 

3、影をチェック、ぼかす

影の部分を拡大してチェックしてみる。

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だいぶ汚い

 

これを修復ブラシを使ってぼかしていく。

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ぼかしたもの

ぼかしたものを暗くして確認


これで美しいなと思う影の条件、「濃い部分から薄い部分への滑らかなグラデーションがある」をクリアできた。

しかし、影はかなりしっかりしたオレンジ色になってしまっていることがわかる。

次の工程からは、これを改善していく。

 

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ここまで簡単に書いてきたが、暗くしてチェック???修復ブラシ???となるかもしれない。

このあたりについては「東京農工大学昆虫研究会 会誌 "EXIMIA No.9"」に詳しく書いてあるのでぜひご購入ください!!!

EXMIA 東京農工大学昆虫研究会 (fc2web.com)

 

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宣伝はここまでにして、ここからは初出しの編集法。

 

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4、レイヤーを複製し、いい感じの影を作る

トーンカーブをいじって、影を薄くする。

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参考程度に。写真によっていじり方はかわります

いい感じの薄さになったら、彩度を下げる。

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毎回だいたい-70ぐらいにしてる

これで影の部分はきれいになった。

 

5、被写体部分を消す

消しゴムツールを用いて、被写体部分を消していく。

まずはおおまかに…

消したところから下のレイヤー(被写体レイヤー)が現れていく。

 

影と被写体の境は丁寧に消していく。

大まかに消してから

丁寧に

このときおすすめなのは楕円の消しゴム

長辺はぼかし弱く、短辺はぼかし強く出せるのが強い

 

脚など、細かい部分は「全部消す→復元」でやる。

周りを消してから復元

GIMPの「逆消ゴム」というツールを使います。

復元したものは撮ってなかった。

6、上半分を暗く

上から

  1. 影レイヤー
  2. 下半分で白く飛ばしたレイヤー
  3. 上半分で白く飛ばしたレイヤー
  4. 予備

となっているので

下半分で飛ばしたレイヤーは上半分が明るすぎになっているので消す。

レイヤーでしかスクショしてない…


このときなるべく柔らかいブラシで消していくことが大切です。

明るさの境を不自然にならないよう見せることができます。

 

この操作によって被写体の上の部分、被写体の下の部分、影の3層構成の写真となります。

 

7、可視部分をレイヤーに。調整。

「可視部分をレイヤーに」で、3層を1層にします。

美しい影

暗くして確認しても美しい

この後、いつも通りゴミ取り、トーンカーブで明るさ調整をする。これもEXIMIAに書いてあります。

 

8、完成!

完成!

色合いなどを軽く整えて完成です。よくできました

 

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いろいろとばして書いてしまいましたがなんとなくわかっていただけましたでしょうか。

 

以下なんとなく意識しているコツ

  • レイヤーをちょこちょこ分けて各段階での明るさをしっかり保存しておくこと。明るくさせすぎちゃったな、となったときに簡単に元の明るさに戻していくことができます。
  • 消しゴムの大きさ、柔らかさを丁寧に調整していくこと。消した感、不自然さを無くしていくことが大切です。
  • 脚などに細かい毛や刺が多い種はむずいのであきらめる

 

なんとなくこんな感じ、というやり方がわかればいろいろな編集ソフトで自分のやり方でアレンジしていけると思います。

 

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いろいろ書きたいことはあるのでどんどん更新していきたいと思います(フラグ)。

 

それでは。